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アペゼというお店はやはりかなりの人気店なのだと改めて思う。
ここのホテルスタッフだけではなく、ディナーに訪れだした客達も口々にアペゼの名を出して姫香と徹平を遠巻きに注目する。
だからこそ徹平は、料理が運ばれてくるまでの時間、誰もを魅了する美しく甘い微笑で姫香を見つめ続けた。
周りの視線と徹平の甘さに逆上せて限界を迎える寸前に、一皿目が運ばれてきた。
見慣れた皿に飾られた見慣れた前菜。
姫香が辞めて半年以上たつが、メニューの変更もなにも行われてはいないらしい。
『いただきます』と呟き一口味わうと…。
姫香と徹平の眉がキュッと皺を作った。
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