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エピローグ
ある天上の水辺に、一人の少年が降り立った時。
「……来て、くれたんだ……」
少年を、一人きりを選んだ娘が出迎えたのは、まるで運命の時を待っていたかのようだった。
何人も留まらない一人きりの此岸。そこに降り立った少年が笑う。
「ここでずっと……待っててくれたの? ラピちゃん」
どれだけ長い時となっても。一目だけでいい。
再会を望んだ娘の前で、薄い琥珀色の襟巻を身に着ける少年が儚げに笑う。
どこにもいけなかった娘は、泣き出しそうな顔で微笑んでいた。
「……連れていって、くれるの?」
そのために少年が現れたこと。
そして咎人の娘と、共に在りたいと願ってくれる少年が手を差し伸べてくる。
少年は娘の大切だったものを、娘に返すことで受け取る。
その後に一言、命に刻まれる言葉を口にした。
「ずっと――一緒にいてくれる?」
娘はただ、嘘偽りの無い心で、それに応える。
「……くーちゃん……大好き……」
何よりも求めていたもの。少年の笑顔を映し続けていく。
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