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金色の髪の少年に出会ったのは、約半年前だった。
その頃の娘は、瑠璃色の髪の友達と金色の髪の少年が、養子の兄妹であるということは全く知らなかった。
――オレはどこかで……ツグミに会ったことがある気がする。
今思えば、現状把握に極めて優れた勘の良さを持つ少年が、そんなことを口にしたのは――瑠璃色の髪の友達という、同じ知り合いの存在を感じていたのかもしれないと、夢現に思い出していた。
――オレはツグミと一緒の方がいい。
金色の髪の少年はそんな、真意のわかりにくいことを度々口にする。これまで娘は振り回されつつ、話半分に流すのが常だった。
その反面、滅多に喋ることのない銀色の髪の少年は、何かを話す時には実に率直だった。
――殺さなくちゃいけない奴がいるんだ。
それでも率直なわりに言葉足らずで、結局理解に難渋する。
――殺さないとあいつは連れていかれる。
それが誰のことだったのか……今の娘には少しわかる気がした。
謎のヒト喰いクローゼットに取り込まれ、意識を失っていた娘が目を覚ましたのは、それからわりとすぐのことだった。
「――あれぇ? もうお気が付きぃ? 謎のお嬢さん♪」
「……へ?」
真っ暗な部屋の中で、唯一寝台の灯りだけが妙に明るい。枕元に大量のバラの造花がまかれた広い寝台に、娘は横たえられていた。
「って……!?」
隣で寝転んで肘をつき、覗き込むようにしていた幼げな誰か。娘には見知った者だった。
「誰か全然わかんないけど可愛いーっ! 絶対あなた、可愛いヒト間違いなしだぁーっ!」
がばっと幼げな誰かが抱き着いてくる。娘がそれ以上言葉を口にするのを物理的に封じ込めていた。
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