余話エピローグ

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余話エピローグ

 最初は唖然としてしまったものの。  娘を待っていたのは、予想外に幸せそうな友達の姿だった。 ――狐魄の悲鳴が消えたから。あいつがきっと、楽しいんだ。  それを少年が口にした時の、以前からは考えられない表情も、少年を待つと決めた娘を改めて後押しする。  その後に彼らが魔界の城を出て、あるべき場所へ戻った後に、少年と闘った従兄が娘に尋ねてきていた。 「結局ユオンには会えたのか? 鶫」 「え?」  同じ邸宅に住む従兄は、自室に帰る前に娘を呼び止めていた。 「探しに行ってたんじゃないのか? ずっといなかっただろ」  娘がなかなか戻らなかった理由を、無骨でも鋭い従兄はそう思って尋ねてきたようだった。  人喰いクローゼットに捕まり、さまよう羽目になった経緯を話すのも、さすがに気恥ずかしかった。 「会えたけど。でもアイツ、まだ当分迷子だと思うわ」  それだけ言うと、従兄が納得したように頷く。 「そうか。それならまた、探しに行こう」  当然のように言う従兄に、娘も笑い、背中を向けたのだった。 image=492903553.jpg
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