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 そうした生き物の錬成に携わった紫苑の男は、旧くからある職業を生業としている。 「今度はエルフィに良い依り代を造ってあげてね。いつまでもただのぬいぐるみの中は、確かに危なっかしいものね」  物造り系何でも屋であり、携帯型にできる高度な武器や道具を男は造れる。瑠璃色の髪の幼女の魂が宿る珠玉は、今は灰色猫の内にあるが、もっと良い依り代造りを旧い仲間である養父に依頼されていた。 「時間かかるぞ……やれ猫型がいいだの、空飛ぶ盾がいいだの、無茶な注文が入りまくってるから」 「あら、素敵ね。エルフィったらとても豊かな想像力ね」 「そいつの兄貴の剣みたいに、携帯型に変えるだけなら一瞬で済むけど。仮にも竜珠の殻を一から造るとなると、まず材料も吟味しなきゃだし」  男と少女と幼女の間で予定されていた本日の買い物は、その材料を買い出しに行くためのものだった。 「造り切れる程オレの体が持つかどーかだな。はっきり言って最後の仕事になりそーだから、気合は入れるけどよ」  しれっとそんなことを口にする男は、若くして悪魔の呪いに体を蝕まれた身だ。その身の崩壊は差し迫っており、呪いによる発作で度々倒れることを、少女も幼女も教えられていた。  紅い少女はとても穏やかに、綺麗な顔付きで微笑む。 「エルフィの依り代ができて、わたしのクレスントも注文通り改良してくれたら、いつ成仏してもいいと思うわ、烙人」 「鬼かお前は。水華のが口は悪くても思いやりがあったぜ」  苦々しい顔をする紫苑の男は、紅い少女の前身である水華が、人形である紅い少女の馭者に過ぎないと知っている。それでもその失権を強く惜しむ者の一人だった。 「そう? それじゃ――」  紅い少女は、男の哀惜の念にまるで応えるかのように、 「死ぬ前にあたしのクレスント直してってよ、ラクト♪」  これまでの虚ろさが全く嘘のように、不敵に口にする。  前身を簡単に再現する紅い少女に、がくりと男が頭を抱えた。 「レイアスと養子が落ち込むわけだ……」  人形の性の紅い少女。その強気な声は以前と何も変わらなかった。
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