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Atlas' -Cry- / sin eater.
「……来て、くれたんだ……」
ある天空の島に、一人の天使が降り立った時。
赤い天使を、その瑠璃色の髪の娘が一人で出迎えたのは、
「……わかってたよ」
まるで運命の時を、自ら望んで現れたかのようだった。
「あなたなら……私を止めてくれるって」
その天使は娘が一人の時を狙い、島に降り立っていた。
何故なら娘は、たった一人で消えることを望んだ。
赤い天使は処刑人の鎌を、咎人である娘に無情に突き付ける。
「……私のこと……連れていって、くれるの?」
そのために赤い天使が現れたこと。
そして咎人の娘をも助けたいと願っている天使に、娘は心から微笑んでいた。
赤い天使は決して動かない表情――それでも青の目に確かな哀しみをのせて、無力な人間の娘を見つめ返した。
「何か……言い残すことはある?」
たった一言。
それだけは、命に刻まれた言葉を口にした。
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