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 高度過ぎる初の悪魔召喚で、酷く体力を消耗していた術師の子供と、それからまともに話せたのは数日後だった。 「で……兄様達は、やる気満々みたいです」 「……うん。ツグミも、わたしとソウとクウが行きたいなら、ついて行かなきゃって諦めたみたい」  川辺を南下し、前を行く兄と従姉、そして帽子の少年の姿に、術師の子供が大きな溜め息をつく。  数日前に幼女が入手した謎の鍵は、「母さんの部屋の鍵」と名付けた。 「これで開けた扉は、何処からでも魔界の……多分あのヒトの居城に繋がる魔法具だと思います」  大事をとりながらも、術師の子供は鍵を預かり、幼女が漠然と説明していたその特性を調べてくれたようだった。 「御所には、このタイプの鍵を使うのは正門か、倉庫の南京錠くらいで、直接鍵をさせる扉じゃないと転位口にはなりません。ジパングには元々、あまりそういう扉は少ないんですが……」 「うちにはあるよ。みんなで行くなら……うちの方がいいかも」  さすがに御所の正門を魔界の入り口にすることは、術師の子供も躊躇っていた。幼女の提案に黙って頷いたのだった。 「それにしても……どうしてこんなことに……」  後ろを気にしながら前を歩き、幼女の実家に向かう兄達の姿に、術師の子供が難しい顔で項垂れている。  鍵を入手した直後、赤い髪の娘に、幼女はその鍵があれば魔界に行けると話した。どうしても行きたいと言った後、娘が従兄と友人に相談したのが、現在の状況の始まりだった。 「ソウは、強い奴が沢山いるのか⁉ って楽しそうだし……クウは、わたしと一緒に、ラピスが元気か見たいって言うし」 「鶫ちゃんに見つかったのが、やっぱり致命的です。どうして鶫ちゃんだけは僕達に気付けたんですか?」  何かの謎の方法で、悪魔召喚の際、見事に他の術師の感知を遮断していたはずの幼女に、納得いかなげに尋ねる。
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