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『あたし、結婚するの───』
可奈子から決定的な言葉を聞いたのは───彼女が卒業する間際のことだった
もともと可奈子の実家は、可奈子が東京の大学に通うのも良い顔をしなかった
ましてや卒業後、東京で就職するなんて良家の子女のすることではない
田舎の旧家の時代錯誤の思い込みだった
ふわふわと儚げで頼りない可奈子が、この時だけは学校の先生になりたいという主張を譲らず───
後妻の紫(ゆかり)さんが跡取りになる明良(あきら)を産んだことで、ようやく決着がついたのだった
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