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先行して先に洞に辿り着いたアリアレーネの視界には、ひび割れ今にも壊れそうな結界とその中で眠るクロウと、そのクロウを食べようと結界に群がる猿のような魔物の群れであった。
その猿のような魔物はカニバルモンキーといい、この種族の主な食べ物は肉である。
それも特定の肉が良いのではなく、肉であるならば魚肉でも獣肉でも人肉でも、同種族の肉ですら嬉々として食べるとても卑しく質(たち)の悪い悪食な魔物である。
この魔物は現在のタイランドから約一年前程から唐突に現れ、どのような環境にも対応して、その地域の魔物を食べ尽くす勢いでなんでも食べ、また別の地域に移動する。最近になって唐突に現れたことも合わさり、人族を含めこの魔物については誰も詳しいことはわかっていない。
ギルドランクになぞらえてランクを付けるとしたら、一個体がB。今回のように群れであるのならAや、場合によってはSランクなるだろう。
現在、そんな魔物がクロウを護る結界に群がっていた。
勿論アリアレーネはこのようなことは知らない。知っているとしたらアスタークか彼から聞いているかもしれないライナードだけだろう。
アリアレーネはクロウを助けたい一心でその群れの中に無謀にも武器も持たず飛び込む。
「クロウを狙わないで!!」
結界に張り付くようにして壊そうとするカニバルモンキーに掴み掛かり、必死に結界から引き?がそうとする。
しかし人族の、それもなんの強化も行っていない女の彼女の力が魔物の力に敵う筈もなく、カニバルモンキーの邪魔にすらならない。
それだけに止まらず、彼女の存在に気付いたカニバルモンキー達が彼女を食べようと、次々に彼女に掴み掛かる。
「触らないで!!」
彼女はそれを雷属性の魔力を瞬間的に放出、所謂放電をすることでカニバルモンキーの手を痺れさせ威嚇する。
【……………ギィーーーーー!!】
【ギャィーーーー?】
【ギィギギーー!】
【ギャ?】
【ギャ?】
【ギャ?】
【ギャ?】
【ギャ?】
【ギャィィーーーーー!!!!】
【ギィーー!!】
【ギィ――!!】
【ギィーー!!】
【ギィ――!!】
【ギィーー!!】
【ギィ――!!】
【ギィーー!!】
【ギィ――!!】
【ギィーー!!】
【ギィ――!!】
【ギィーー!!】
【ギィ――!!】
【ギィーー!!】
【ギィ―――――――――!!】
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