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アリアレーネの傷は当然だが致命傷と呼べるような傷だった。
しかし彼女は構わず結界の前に立って剣を構える。
しかし……、
「……?どう…いう……、こと?」
カニバルモンキー達は傷付いた彼女に追撃を仕掛けるわけでもなく、彼女の後ろの結界を狙って跳びかかるわけでもなく、ただただ傷付いた彼女から距離を取って彼女を見ているだけだった。
訳がわからなかったが、アリアレーネは襲われないのならと腰に着けていたポーチから薬草を取り出す。
それを手の届く範囲の傷口に当てようと手を回した時だった。
【ギィ―――!!】
彼女から一番近いカニバルモンキーが彼女に跳び付く。
「クッ!」
彼女は薬草から手を離し、両手で剣を握って跳び付いてきたカニバルモンキーからの攻撃を受けようとした。
しかしカニバルモンキーはそれを無視して、彼女の落とした薬草を拾って、再び彼女から距離を取った。
「まさか……!」
そこでアリアレーネはカニバルモンキー達の意図に気付いた。
気付いたのならば、彼女が今すぐに出来る残された選択肢は一つしか無かった。
内臓が見え、今も絶え間なく血が流れ出て激痛と貧血でフラつく身体に鞭打ち、彼女は必死に、今度こそカニバルモンキーの命を奪うべくカニバルモンキー達に駆け寄り剣を振るう。
【ギィ――!!】
カニバルモンキー達はアリアレーネが自分達の意図に気付いたことに気付き、振るわれる剣を大げさに避けてみたり、腰を抜かして動けないといった様子で後退り、いざ剣が振るわれると宙返りをして避けてアリアレーネを指差し馬鹿にするなどして、彼女が苦しむ姿を種族で楽しんでいた。
彼女の元々の価値観からすると、それはただの戦う者と命への冒涜であり、絶対に許せない事だった。
当然頭に血が昇る。
しかし血が昇れば当然出血量は増える。
出血量が増えれば、当然活動限界は早く訪れる。 魔力で攻撃しようと、剣で攻撃しようと、カニバルモンキー達にその悉くを避けられる。
そうして遂には結界に背を預ける形で座り込んでしまう。
出血量、傷口の深さ、重傷を負ってからの経過時間。どれをとってもクロウの比を超えるほどのものだった。
既に彼女に意識はほとんどなく、「クロウを護らなきゃ」という意志だけで動いていた。
しかしそれももう出来ない。
アリアレーネは今にも意識を手放しそうだった。
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