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「………………生きてる?」
「なんだ、死にたかったのか?」
「…………アスターシャか。」
「礼はメグに言うんだな。あいつがお前等を見つけなければお前等は死んでいた。あいつが頼んでこなければお前は死んでいた。」
「そうは言っても、治してくれたのはお前だろ?ならお前に対しても礼を言わないと。
ありがとう。」
「…ちっ」
それからクロウはライナードに、自分がナイトメアを使ってからの話を聞いた。
ライナードは嫌そうな表情(かお)をしながらではあったが、彼がメグから聞いた話とメグがクロウを背負ってアリアレーネと帰って来てからの話を掻い摘んでクロウに説明した。
メグが着いた時には、泣きながらクロウを抱え、一向に動こうとしなかったアリアレーネのこと。
メグがクロウの肩に腕を回して背負って帰ってきたこと。
メグ達が帰って来てからすでに半日が経っていることを。
「……そうだったのか。」
「あぁ。いい迷惑だ。」
「アリアとラングウェイは?」
「メグは今、あの屑についてる。 女同士で通じるものが有ったんだろ。」
「屑って……。」
「屑だろ。そうじゃなければただの邪魔者だ。お前は死に掛けの傷を負いながらあの女はほとんど傷を負ってなかったが……、どうせお前がアレを庇って、アレは何もしなかったかほとんど何もしなかったんだろ。 戦えるのに戦わないのはただの屑か愚図だ。俺からしたらそんな奴、生きてる価値すらない。」
「……………。」
「アレにとってのお前がそこまで傷付けられて怒りもしないなんてのは、最早普通の人間の感性じゃ図り切れねぇよ。戦う人間なのに闘争心が無いとか、アレは新種の魔物と思った方がまだ納得出来るレベルの害だ。
お前も少なからず思う所は有る筈だろ。ならなんで言って来なかったんだよ。今のアレを形成しているのは確実にアレの過ごしてきた環境が原因だぞ?」
「……だから今回の事だ。 流石にガルシアさんも思うことがあったんだろうな。俺とアリアは騎士長と副騎士長の地位を剥奪されて、国王様直々の命で王都以外に人の住める場所を探せという名目で王都から追い出された。
俺は恐らくアリアが死なないようにするためのお目付け役だろうさ。」
「で、そのお目付け役様が即行死に掛けているが、もし死んでたらその場合はどうした?」
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