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「無事生き残り王都にアリアが帰れたとしたら、まず間違いなく騎士としての地位も剥奪されるだろうな。 その上で2度と表舞台には顔を出さなくなるだろうな。」
「ならお前は死んだことにして俺達と来るか?そうすれば基本的に誰もが幸せになるぞ?」
「冗談言うな。それだとアリアが幸せになれないだろ。アイツは絶対に俺が死んだなら一生自分を責め続けるだろうからな。」
「俺は魔物の幸せなど知るか。」
「お前な……。」
「俺からしたらもう、アレは本当にそういうものにしか見えないんだよ。
それでもまだ売春婦としてなら価値が有るんじゃないか?俺はそういうのに全く興味無いから何が良いのか知らないが。 確か顔だけは良かっただろ?」
「ッ?!!」
「絶句するな。何度も言うが、俺からしたらそれほどまでにアレの存在理由が無いんだよ。出来るのなら今すぐにでも殺してしまいたいぐらいなんだよ。ガルシアさんの愛娘とかじゃない普通のその辺の奴ならとっくの昔に殺してる。 いい加減わかれ。そのぐらい、学園の頃からアレが無理だったんだよ。」
そこで話を区切ると、ライナードは首を上へ上げ洞の淵を見つめる。
「そういうわけだメグ。いや、気配的にツァチェか。アレの代わりに俺を説得してだとか、少しは同情の余地が有るんじゃないかとか考えるな。全面的にアレに関して俺は否定する。」
そう叫んだ後、もう一度クロウを見た。
「で、お前はどうする?お前一人ならまだ許容出来る。お前も嫌いだが、昔と比べれば幾分マシだ。お前が望むのなら、お前は連れて行こう。」
「俺は……。」
「まぁ、お前は20年以上好きな相手に気持ちを伝えることが出来ない、周りにお膳立てされてようやく手を繋げるようになった程度のヘタレだからな。すぐに答えが出るとは思ってない。
もう半日はアレを誤魔化せれる。その間よく考えるんだな。」
「テメッ!!」
それだけ言うとライナードはクロウの呼び止めも聞かずに軽く跳び上がり、洞の外へと出て行った。
「っの野郎……。」
ライナードに対する怒りを露わにするが、言い訳も言い返す言葉も浮かばないようで、その怒りを飲み込んだ。
「連れて行こう…か。」
クロウはライナードに言われたことを復唱して、どうするかを考えるのであった。
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