アセンションプリーズ

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 俺は既にこの不思議な現象に何故か気持ちが追い立てられ始める。 「次の問題です。女性がお礼を言いました。あなたはこの後どうしますか?」 A傍でしばらく付き添う Bその場でじゃと去る 「その場でじゃっと」 「ブー下降しまー」  げっ、間違えた! 「待って、傍でしばらく付き添う」 「ピンポーン上昇します」  ふー危なかった。 「次の問題です」  まだあるのかよ、ああ、そうか。どっちかに行くまでは終わらないのか。 「女性の家に着きました。あなたは?」 A女性の部屋にお邪魔する。 Bそれじゃと言って帰る。  うーん、確かに家に来るまでは親切な人だと思われると思うんだが。部屋に入るのはどうなのか。 「それじゃと言ってか」 「ブ」 「うわっ、お邪魔する!」 「ピンポーン!」  階数の表示を見ると3階だった。  はぁ。あと少しだ。 「次の問題です」 A女性の看病をしているうちに変な気持ちに Bそれじゃと言って帰る。  いや、変な気持ちになるのはまずいだろう。  でもいままで帰ったら即ブーだったし、いや、でも具合が悪いのにそれはまずい。 「それじゃと」 「ブー」 「あーくそっ、Aで!」 「正解!」 「次の問題です。朝になりました。二人は恋人に」 Aなる Bならない 「えっ。あーもうなるなる!」 「正解です!」  俺はエレベーターの数字を見た。もう10階になっている。この後の回答で俺は。 「さぁ最終問題です! 彼女に赤ちゃんができてしまいました。二人はどうする?」 A結婚する。 B結婚しない。  この選択で俺は天国か地獄へ落ちるかどっちかだ!  愛に満ちた地球へ行くか、砂漠のように枯渇した寂しいカルマ修行の地球へ行くか。  俺はその日の夜同僚と飲みに行った帰り道、道端で倒れている女性を見つけた。その女性が誰だか知りながら。  開発部の路美姫 光里(みちびき ひかり)21歳 小柄だけど目のクリクリした、仕事でも愉快な発想の子だ。  アセンションプリーズね。回りくどい告白だ。  さっきさりげなく「紗間宵くんはアセンションしたい?」なんて聞いてきた奴だ。  さて、俺は愛に満ちた次元上昇の地球へ行くか。  それともここで断って再び元の世界でカルマ修行するか。  俺は呆れながらも、ほくそ笑みながら倒れ込んでいる彼女の後ろに立った。
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