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「あんまジロジロ見るな。失礼だろうが。悪いな。こっちはこの店の店長で名城瑛太っつうんだ」
「初めまして。浅野真史です」
瑛太の視線を不快に思いながらもそれをおくびにも出さず、名刺を一枚取り出して差し出した。名刺を受け取った瑛太はしげしげと見てから黒田に顔を寄せる。
「黒田さんやるじゃん。こんなに若くて警視庁のキャリアか。黒田さんもすみにおけないよなぁ」
冷やかす瑛太に呆れた顔をしながら、黒田は浅野をちらりと横目で見てきた。
「悪いな、しつけがなってなくて。それよりいいからいつもの出せ」
黒田は浅野から瑛太へと視線を戻し、顎をしゃくって注文する。
今のはなんだったんだと一瞬呆気にとられた浅野は、どういうことなのか聞こうと口を開きかけた。だが、瑛太にメニュー表を渡されて説明をされるうちに、結局何も聞けないまま話は流れてしまった。
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