5/20
397人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
「あんまジロジロ見るな。失礼だろうが。悪いな。こっちはこの店の店長で名城瑛太っつうんだ」 「初めまして。浅野真史です」  瑛太の視線を不快に思いながらもそれをおくびにも出さず、名刺を一枚取り出して差し出した。名刺を受け取った瑛太はしげしげと見てから黒田に顔を寄せる。 「黒田さんやるじゃん。こんなに若くて警視庁のキャリアか。黒田さんもすみにおけないよなぁ」  冷やかす瑛太に呆れた顔をしながら、黒田は浅野をちらりと横目で見てきた。 「悪いな、しつけがなってなくて。それよりいいからいつもの出せ」  黒田は浅野から瑛太へと視線を戻し、顎をしゃくって注文する。  今のはなんだったんだと一瞬呆気にとられた浅野は、どういうことなのか聞こうと口を開きかけた。だが、瑛太にメニュー表を渡されて説明をされるうちに、結局何も聞けないまま話は流れてしまった。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!