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「何にします?」
カフェメニューに目をとおしていると覗き込むように瑛太に聞かれ、一番無難なブレンドを頼む。
「ブレンドですね。黒田さんもいっつもブレンドなんです。ふたりは気が合いますね」
そう言われてうれしくないはずがない。本当は甘いものが飲みたかったが、黒田と同じならブレンドを頼んで正解だった。気が合うという言葉に、さっきの不躾な視線をチャラにしてやってもいいという気持ちになる。
浅野はどちらかというと女性が好きそうな甘いものを好む。
この店のメニューにも、カフェラテやカプチーノ、カフェモカやホットチョコレートまであり、本当はカフェモカあたりを飲みたいと思ったのだが、仕事の合間に来ていて、しかも黒田と一緒だ。そんな女性が好みそうなものを頼んで呆れられるのが嫌だった。
「なんとなく俺のイメージだと、こういう甘いやつを飲むのかと思ってたんだが」
「えっ? それはどうしてです?」
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