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メニューのカフェラテあたりを指差しながら言われ、その理由を問いただす。
「こういう洒落た飲み物が似合いそうだよ、あんたには」
揶揄(からか)うでもなく馬鹿にするでもなく、微笑みながらの言葉に顔が熱くなる。
「ちょっと黒田さん、ここで口説かないでよ。聞いてるこっちが恥ずかしい」
湯気の立つカップを目の前に出してきた瑛太は笑顔で黒田を揶揄する。
「どこが口説いてたんだよ。俺はただこっちのやつが似合うって話をだな……」
「わかったわかった。そんなに慌てて言い訳しなくたってわかったから」
瑛太は黒田の肩を叩いて宥めすかす。
ふたりのやり取りを、悪ふざけのような冗談だとはわかっていながらも意識せずにはいられない。
瑛太は黒田の言葉を言い訳だと笑いながら一蹴し、メニューを開いてデザートのページを見せてきた。
「ケーキはどうですか?隣がケーキ屋なんですけど、俺の親友がやってるんです。ケーキを食べたいお客さんには隣で買ってきてもらってまして。その逆もまた然りで、ケーキ屋でケーキを買った客がうちにきて食べるのもあり。本来ならセルフサービスなんですけど、浅野さんなら特別に俺が買ってきますよ。何がいいですか?」
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