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 黒田は車のエンジンをかけた。次の聞き込み先に向かいながらふたりの話を聞く。 「その頃俺は少年課にいてな。他のグループと暴力事件を起こしたのをきっかけに、瑛太と知り合った。あいつ優男に見えるが、ケンカはめっぽう強いんだ。そんな瑛太を見て、家庭環境や学校には問題なさそうなのに、何がこいつをこんなに荒れさせてるのかって気になってな。それからしつこく世話を焼いてる内に、いろいろ話してくれるようになったんだ」  瑛太は理人を弟として可愛がってた分、性的な欲望を覚えたことにいたく戸惑った。一度自覚してしまった気持ちを変えることはできず、そしてそんな自分を許すこともできずに、抑圧された気持ちは狂気となり外へと向けられた。  黒田に諭された瑛太は、自分の周りを振り返り、このままではいけないと改心しグループは解散。その後時間をかけて気持ちの整理をつけ弟と向き合ったのだ。 「じゃああのふたりは……?」 「付き合ってるよ。ふたりとも同じ気持ちだったってわけだ」
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