二人の刑事と珈琲屋の兄弟

２

　単純に凄いと思った。
　兄弟でありながら男同士でもある。そんなふたりが結ばれるまでにあった苦悩や苦しみは、他人には計り知れないものがあるだろう。

　浅野もゲイであることに苦しんだ時期もあったが、今となっては過去のことだ。今はゲイである自分を受け入れ、前向きに生きている。

　だから名城兄弟も、そんな過去があったから今があると前向きに思っているだろう。周りに隠さなければならない苦労はあれど、同じ気持ちでふたりでいられることの喜びは大きいはずだ。

「理人は嫉妬深くてな。俺がしょっちゅう出入りしてるのが気に入らないんだ」

　なるほど。それであの態度だったのかと納得した。

「瑛太くんが店を始めてからずっと？」

「ああ。その頃理人はまだ中学生だったから実家にいたんだ。高校生になってあの店の二階に一緒に住むようになると、一週間に一回は必ず顔を出す俺に突っかかってくるようになってな」