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 それからほどなくして四人の生活が始まった。これまで母親とふたりが当たり前だった理人には戸惑うことばかりで、毎日があっという間にすぎていく。  けれど、そんな生活の戸惑いの中でも瑛太や瑛太の父親とは驚くほどすんなりうまくいっていて、まるで昔から知っていたかのようだった。  それはきっと、理人に対してそういう気遣いが多大にあったからだと思う。特に瑛太は四六時中理人にくっつき、あれやこれやと世話を焼いてくれた。初めてできた兄弟がうれしかったというのもあるのだろうけれど、年が離れているせいもあってか可愛いとしか思えなかったようだ。  そして理人が小学校中学年になった頃、あることに気づいてしまう。それはいつものように風呂へ入ろうとしたときだった。脱衣所の扉を開けると、今まさに浴室へ入ろうとして扉を開けていた瑛太の全裸姿が目に飛び込んできたのだ。  その瞬間、理人は今までに感じたことのないような欲求を自分の中に見つけてしまった。
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