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 それが性への目覚めだったのかもしれない。周りに比べたら早熟だっただろう。けれど理人は、思いの外それをすんなりと受け入れられていた。  この家に来てからずっと慕ってきた兄。どこにいくにも一緒で、何をするにも一緒で。愉しいと思うことはすべて瑛太が教えてくれた。だからそれは、瑛太を兄以上に好きになることは、理人には自然なことだったように思う。  けれどいくら理人が早熟だったとはいってもまだ小学生。恋愛のいろはも知らなければ、兄弟を好きになることがどういうことなのかもよくわかっていない時期。  だから理人は思うがままに振る舞うことしかできずにいた。瑛太のことが好きだと言葉にこそしなかったけれど、これまで以上に瑛太にかまってもらいたくて、瑛太の部屋に入り浸ったり、買い物先にくっついていったり。  とにかく自分から溢れる出る気持ちを抑えることもせず、自分を優先していった。
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