8/32

397人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
 瑛太も元々理人を可愛がっていたし、どこにでも連れていき、一緒にいることを当たり前だと思っていたから、まさか瑛太に避けられる日がくるとは思ってもいなかった。  おかしいなと思い始めたきっかけは、理人をあまり部屋に入れたがらなくなったからだった。そしてそれから一緒にも出かけてくれなくなり、決定的になったのは、瑛太が家に帰ってこなくなったことだ。  その頃にはすでに瑛太は優しい兄ではなくなっていた。  理人が話しかけても無視。側に寄ればすぐどこかへいってしまい、目すら合わせてくれなくなっていた。  このときに初めて、理人は恋の苦しさを知った。  兄弟という壁を知った。  瑛太は明らかに、理人だけを避けていたのだから。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

397人が本棚に入れています
本棚に追加