植物の嫁 後編

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しかし、目の前の『怪物』は、上から目線で笑う。口端を釣り上げて笑うだけだ。 「トブくん。君はもう、とっくに結論に辿り着いているはずだ。頭も悪く無いだろう? ここへ来るのは馬鹿な奴だ。わかるかね? いや、馬鹿ならもうここに着く前に、死んでいるかもな」 「まあ検討は付いていますよ」 いや、検討なんて、ツララ国をでる時には、何となくついていたんじゃないのか。ただ、疑いたく無かっただけか。 「話し合いを求めた所で、真相を知ったリュを生かしておく訳がない。きっと、勝手に作った変な儀式の生贄にでもする気でしょう」 「よく分かってるじゃないか。流石、『光の使者』。」 「その言い方は今後一切やめてください」 キッパリ言ったリュの言葉が引っ掛かったようで、マヘさんは顔を歪ませた。 「そこまでわかってるのか。まあいい、始末するだけだが」 上から睨まれている。 とても、冷たい。心から苦しくなりそうだ。 今のマヘさんは、優しいあの頃のマヘさんとは、とても遠い。 でもこれが、本来のマヘさんであるはずがない。 救わないといけない気がした。誰よりも、閉じこもっている人のような気が。 ツララ国で会う前だって、あんなに優しそうな、幸せそうな顔をしていた。 「……マヘさん」 悲しかった。誰を思わなくても、何故か悲しい。胃がキューッと縮まるように、泣きそうになる位、悔しい。悲しい。 後戻りは出来ない!! ここで話をしなければ、一生、呪われた人々は救われない。 マヘさんもツツバヤも救えない。 それが、その重大な役割が辛かった。 「黄色い葉。この黄色い葉の数々。思うに、一本一本、呪いにかかった人達ですね」 「ほう」 首の体操でもしながら、さぞ当たり前のように答えるマヘさん。 「どこで知った」 「あなたが勝手に作った伝説のナンタラの勘ですよ」 それを聞いて、一瞬、鼻で笑う。 「それが『光の使者』だ。まあ、勘で全て解決出来る訳ではあるまい」
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