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ツツバヤを、悪者にするのだけは。
「言うなっ!!」
「何故君がそこまで真実を聞きたがらないのかは知らないが」
ふ、と短く笑い、マヘさんは意地悪そうに満足そうに、また笑った。
「簡単だ。村の伝統を引き継ぎ活性化させ、街へ国へと得体の知れない地域へと拡張していき、最後には人間を奴隷として、食料を独り占めにし、女王となって身勝手な政治を始めた。それだけといえばそれだけだね。」
つまりは。人間の頂点のように振る舞い、餓死する人々を嘲笑って王宮で豪華な食事をし、祭りも戦争も、辛そうな人々を見る事さえ楽しんだ……。
「あんな残酷な化け物を放って置けなくなった私が間引いてやった。ちょっとあいつが勝手に出て行かないように細工はしたが、何人あのトラップに引っかかったところで人口は減らないようにしてある。」
「な……ッ!! それでお前、そんな軽い気持ちでウェザブーチェンを……?! おい、それで何人の人が苦しんでるのかわかってんのか!!」
「そう怒るな、電気の英雄くん。世界のバランスは彼女が消えた事で保たれた。素晴らしい事じゃないか! それに君は、ツツバヤの監視役を見事に果たした『光の使者』としてマヘ家の歴史の一ページに載るんだぞ? めでたくは思わないか。」
「思うわけないだろ!!」
また、ぐいいと縄のような幹が体に食い込む。
「う……ッ!!!」
「ウェザブーチェン、か。よく調べたな。褒めてやろう。だがこんな事を思いつく私も凄いと思うがね? 一つ一つの魂の『時を止める』ことで、死ななければ死なせる事もない。まさに、周囲から怪しまれる事なく人口を保ち続けられるのだよ。」
畜生!!
「まあ、そんな悪魔のようだった彼女を引き取って、神の妻にしてやった。」
「ああ」
足が。足がもつれて、上手く幹から逃げる事ができない。
今すぐすり抜けて、こいつを殴りたい。
怒りを抑えられない気持ちで声を張り上げた。そんなつもりは無かったのだが。
「ああ、しってるさ!! お前は、お前はツツバヤを回収するために、絶対に逃げられない『女神』としてかくまったんだろォ!!」
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