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「まてよ……」
目の前の森を見通して呟く。
考えてみるとおかしいのだ。絶対おかしい!
もう2時間は歩いているのに。日も沈んでいないのに。
“なんで戻れないんだ?”
ツルの絡まり合った植物、曲がった大木、地面の草やコケ。
風景は一つとして変わらない。変わってくれない。
真南に進めばテードに着く。テードでなくても近くにはたどり着く。森を抜けられる。
物理的に間違っていない。何度も頭の中で検討した。シミレーションまでした。
なのに、着かない。おかしくないか?
そんな丸1日走ったわけじゃない。半日も走っていないだろう、ここへ来るまで。
森に入り、気がついたら奥の方。そこから物理的に出られる方法を見つけ、歩く。
その結果がコレだ。迷子の迷子のトブ・サンダー。トブさんだ。
「(はあ。こんなくだらない事言ってるんなら真面目に森から出る方法考えなきゃなあ)」
そして気がつく。
おかしい。
おかしい。おかしい。なんで出られない?
流れで、考えはフリダシに戻っていく。どっちにしてもおかしい、ということには変わりないのだから、これがまた仕方ない。
リュは今、旅仲間のマーガレットとラベンダー、二人を『置いてけぼり』にして森まで走って、迷子になっていた。これだけ聞けばさぞ「身も蓋もないひと」に思えるかもしれないが、ちゃんとワケありだ。ん? なに、どんなワケか?
それは、複雑過ぎるので一巻から解読して貰うことをお勧めする。
簡単に言えば……電気の体。そう、リュの体は電気で出来ている。水に触れれば水の繋がる端までワープしてしまうし、充電池の中が寝床だ。普段はちゃんと人間用のベッドで寝る方が心地いいので、町に着いた時には宿を取るようにしている。事実だ。
リュが旅している目的は、友達助け。これにも深いワケというものがある。
彼女ーーツツバヤは、呪いで体を植物に変えられてしまった。花が咲きそうなまま三年も動かない、植物。
それを助けるために、旅を続けている。
だが、彼女も謎だ。
生贄やら、永遠の蕾やら、形の変わったものやら、ウェザブーチェン。
奇妙な単語や言葉やら、調べてみると何に対しても謎だらけ。
そして、『グリーンエメラルド』と呼ばれるここテードに、植物になったツツバヤの花を咲かせる『魔法のような肥料』を求めてやって来たわけだが。
森で迷ってしまっているこの有様だ。
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