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ツツバヤは止まっていた。3年間待っても、全く成長しなかった。あれは呪いとしか思えなかった。リュが電気になったのと同じように!
なら、ここの森はなんだ?
……全て止まっているのではないだろうか……。
怖いのは当たり前だ。石のように止まった植物で構成された森だ。
呪われているのか?
ゼンブ?
ということは、まさか、元は。
「なおさら急がないと……」
考えないようにした。
これ以上考えたら、止まってしまいそうだった。
得体の知れない何かに飲み込まれてしまいそうだった。
ツツバヤを助けたい。自分に味方をしてくれた、唯一の少女に恩返しを。
それだけなのだ。
神がいるとしたら、報いをくれたっておかしくないだろう。でも、この世に神なんて職業はない。
運命は自分自身で決まる。だから、どっちへでもいいから前だと信じて進もう。
今は、それしかない。
最後、走った。
怖くて。ムキになって。歯を食いしばって。
先に見えた星屑のような光があった。この先だ。
光が大きくなるにつれ、安心も大きくなる。太陽だ。木の葉からちらちら漏れている太陽の光だ!
そこに飛び込むと……。
「…………ッ!」
息を呑んだ。
テード。あの緑の街ではない。全く違う風景だ。
なんだ、ここは?
砂漠のような白っぽく焼けた砂に、幹も葉もオレンジ色の木が点々と生えている。傾いているように見えるが、支えはしっかりしている。「斜めに生える」種類だろう。
その先は谷だ。遠くからでも、下に行くに連れて黒くグラデーションになっているのがわかる。谷の向こう側は……見えない。きっとこの場所が高いだけで、おそらくは谷の底と同じ高さになっているだろう。
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