暗い世界から悪夢へ……

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平らな砂はキラキラ輝きながら、谷の中へと流されていく。 流されていく。ん? 足元を覗いた。 砂が足の隙間を通って流れている。後ろを振り返ると、少し遠くにさっき来た不気味なジャングル。 そして正面に向き直る。 やはり谷底が見える。 結論。流されている。 谷に向かって。 「があああああああ!!!」 慌てて走るがもう遅い。 『綿よりも軽い』と思えるくらい電気なリュだ。流され始めると勢いは止まらない。 森が遠ざかって行くのを眺めている暇なんかない! ダッシュ! 猛ダッシュ! 手足を精一杯振って、揺れ動く地を蹴る。 前に広がる白っぽい波が押し寄せてくる。 なんでこんな時に限って電気なんだろうと思う。 不自由ばかりだ! 「なななななな流されるーー!!!」 走る! 走る! 表面を走る! 助走があれば向こう側まで跳べるのだが、そんなことは叶わない。同じ理由で電気になって飛ぶことも出来ない。 気が付いた。 電気になれば、もしかしたらもしかしたら、跳べるかも? そう思った矢先。一時停止した足は見事に砂にとられ、綺麗にコケて流されていった。 もがくが、どうにもならない。 さらば。さらば。 「ってぎゃああああああああ」 ギラギラ熱い太陽は眩しく、遠ざかっていく。 掴まる植物や縄なんて素敵なものはなく、宙で握った砂は指の間から抜け落ちていく。 吸い込まれていくのは谷底。足も体も浮いて、自由落下。 体を支えるものは、はっきり言って、無い。 当然、無い。 重力の行く方を恐る恐る振り返ると、そこはーーーー。 地面だった。 「ぐほああ?!」 頭から突っ込むところだった。 まさかこんなに浅いとは思わなかった。 てっきり、50メートルくらいの深さはあると思ったのだが、半分の半分も無かったのだ。 空を見ると、日が少し傾いていた。 「結構遠い所に来たみたい、だな……」
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