人類の至宝

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「見た目は普通のどこにでもいそうな可愛い女の子だった…でも」 またしても一旦言葉を切り、握り拳を額に当てる。 「見た目とは裏腹にその女の子を見た瞬間…俺の直感が、本能が、ヤバいと騒ぎ出した」 「…ほう?」 「俺は勝てないと悟ってなりふり構わずこの子を抱えて逃げた」 …おっとぉ、その女の子にはなーんか心当たりがあるぞー? 「でも逃げ切れなかった、せめてこの子だけでも逃がそうと時間を稼ごうとした…だけど」 「んでそのザマか…分からねぇな、この子は逃げ切れたんだろ?だったらお前も逃げれば良かったんじゃないか?」 「あの女の子はなんて言うか…温度を感じさせない冷めた目をしてた、俺が逃げたら真っ先にこの子を追いかけて殺してたと思う」 「で?お前は死にかけた割にソイツを追い払えたのか?」 俺の問いにライナは苦虫を噛み潰したような顔になる。 「はっ、結局は相手が時間切れで退いたってワケね…無様に武器まで奪われて」 「そ、そんな言い方って…!ライナさんは私を逃すために!」 鼻で笑いバカにするように言うと女の子が怒ったように立ち上がってライナを庇う。
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