弟子

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「へぇ…お前にそんなに貸してたんだな」 ぶっちゃけもう6年ほど前の事だから誰にどんだけ貸しがあるか、とか覚えてねえよ。 ただ…誰からも借りを作ってない事は確かだが。 俺の場合は貸しを作ってからソレを消費する形でしか頼み事はしないし。 「まあとりあえず研究所の一室と器具を借りるぞ、俺にも都合があるんでな」 「…ソレを貸しとして使ってくれないか?」 「バカか、貸しを使うぐらいならショコラに頼むわ…ソレでも無理ならリザリー達の研究所に行く」 「だよな…無理なのは分かってたが…はぁ…」 俺は辛気臭いため息を吐いたハルトを無視して部屋を出て再度受付に向かった。 「すいませーん」 「あ、はい!なんでしょうか!」 受付嬢に話しかけると急に背筋をピンと伸ばし緊張した様子になる。 「……どっか空いてる研究室とか無い?誰も使ってなくて、これからも使わなそうな」 「え、えーとですね…!」 そう尋ねるとお姉さんは焦ったように手元のパソコンをカチャカチャ弄りだした。
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