最終話

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「それよりも今の約束、忘れないように。君は眠くなると言ってしまった事を忘れる傾向があるようだから」 腕枕をしてもらっている反対の手で、耳たぶを掴まれて指先で擦られた。こそばゆくて身悶える反応を見て喜んでいるこの人… 意地悪だ。 「忘れるなんて…そんなことありましたっけ?」 「駐車場での俺への告白。眠ってしまって見事に忘れていたのは誰だ?」 「…………」 心当たりがありすぎるその事件に、静かに自分を指差す私。 「スケジュール帳にしっかりと書いておきます」 「いいな、俺も記しておこう」 瞬きを何回もしてしまった。柊さんもそういう事してくれるんだ。 これが同じ職場になったら、二人の卓上カレンダーとか買っちゃってそこに私達にしかわからないシールを貼っちゃって…とか出来るのだろうか。
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