最終話

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人事部に順番に呼び出される私達。先に呼ばれたのは留美だった。 ”人事課”のプレートが掲げられている扉の前の革張りのソファで、一人さっきから深呼吸ばかりしている。 昨日、過ごした柊さんの部屋で彼が言ってくれたのは 「多分、大丈夫だろう」 それだけだった。 「多分って…多分って…あぁ…嘘でもいいから安心できる言葉がほしかったのに…」 仕事には一切の妥協を許さない柊さんだからこそ、「多分」の言葉に重みがある。 確率で言うとどのくらいなの? いや、それ以前にどのくらいの希望が望めるんだろう。 ぐるぐると変な事を考えていると、留美が出てきてその手には受付へ配属する旨が書かれた書類を持っていた。
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