最終話

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エレベーターの上昇がこんなに待ち遠しく感じるのは初めてだ。 彼の顔を見たら飛びついて抱きついてしまいそうになるけれど、それを必死に我慢をする。 これから一緒の職場になるんだもの。この気持ちに慣れるまでまだまだ時間はかかるかもしれないけれど、みんなの足を引っ張らないように今まで以上に頑張らなければ。 決意新たに向かう先は、3週間もお世話になった懐かしい人達がいるあの場所。 ゆっくりとその扉を開き、私は真っ直ぐその人に向かって歩みを進めた。 「今日から、販売促進課に配属することが決まりました。 またご指導よろしくお願いします」 そして私にしか見えない角度で、彼はほんの少しだけ口角を上げて立ち上がった。
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