【Six man Ⅱ】

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「ハァ?てかココ、マジで聖学の寮?」 俺の家の庭から見て真正面、大型トラックの行き交う道路を渡って目の前の建物を見上げる。 「きったねぇ」 広い駐車場のすぐ後ろは、聖学の高い塀が無かった。五階建てのボロボロの建物が、一階の裏口を照らす蛍光灯に浮かび上がっていた。不思議な形の寮はボロボロで、煤けて黒くなった外壁。部屋には明かりがひとつも灯っていない。 「ほんとにくぅちゃん住んでんの?」 長方形の建物の幅だけ、塀が途切れていた。かわりに、ボロボロのフェンスがある。蛍光灯で鈍く光るシルバーフェンスが建物と平行にあった。 「ちょっとだけくぅちゃんに逢いたい」 近寄って、フェンスに指を掛けると小さく軋んだ。
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