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兄貴と喧嘩した俺は信号待ちのとき、くそ兄貴に髪を掴まれて窓から路上に引きずり出された。で、結局、途中で車を降りた。
「帰ったらブッ殺す」
「ハァ?てめぇはそれでも兄貴か」
「チッ、酒が飲みた「ひとの話聞けよ」
「ばいばーい「待てコラくそ兄貴っ!」
中途半端な場所で「すみません、煌聖学園まで」俺はタクシーを拾った。
「マジで俺ん家の隣だし……」
天王寺から聞いた通り、タクシーを聖学の裏門まで回してもらった。そこで降りて、門を左手に真っ直ぐ歩くと、見慣れた塀が見えた。十五年間、聖学が隣にあることを知らずに暮らしていた。くぅちゃんが聖学じゃなかったらたぶん俺は一生、聖学の場所を知らないまま、暮らしていたと思う。
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