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――君達の、叶えたい夢は何?ゲームを始めようか。
僕等は人間を救うよ。だって、その為の道具だから。
単なる物に過ぎない、元は人間自身が己の欲望だけで生み出した。
世界は変わる、科学が造り出した妖精から全ては始まろうとしていた。
私は、とある参加者に選ばれて此所に居る。何でも優勝者には賞金百億が授与されるらしい、ずいぶんと突拍子な事に誰しもが信じなかった。
木苺叶(キイチカナエ)
其れが私の名だ、今日は何やら政府の発表らしく約100000人が集められた。
東京ドーム、何個分の広さを誇る国会特殊議会室。そんな場所で名札を着けたまま、一名づつ奥の部屋に入る。
出て来た者は、何故だが居ない。不思議に思いながら首を傾げていると、ついに私の出番がきた。
ドキドキしながら、進んで行くと。スタッフに硝子ケースに入れられていた人形が渡される、其れを受け取った矢先。
突如アナウンスが流れた、咄嗟に視線をスピーカーに向ける沢山の人々。
『ようこそ諸君、君達はゲーム参加者だ。しかし賞金を獲得出来る者はたったの一名だけ、そこで今からルールを説明する』
冷静に、黙々と話すオーナー。だが平和な時はこの瞬間に終わりを告げた、私は背後に迫る人影に気づけない。
長めの、両サイドを結ったハーフツインテールを揺らし。僅かに掛かる影に、驚愕しながら振り返る。
しかし、時既に遅し。周りからは断末魔が響き、私は人波に流されていく。
人形を手放さないよう、必死に抱き抱えながら出口に向かって手を伸ばす。
すると、淡い暖かな光が私を包み込んだ。
ふと、手元に抱えていた硝子ケースの其を視やると。中から耳を尖らし、背に二枚羽を生やした小さな少女が光を発していた。
蛍よりも、より幻想的に。そして祖の外見は美しくも妖艶、首元にはダイヤ柄の首飾りを身に付けている。
ファンタジーでよく視る、あの幻想の生き物。空想でありながら、人を嫌う種族。
妖精が、腕から抜けてフワリと目の前に浮かぶ。
「……えっ」
「私は、試作番号01。あなたのパートナーよ。宜しくね」
彼女、否。人形が喋っている、明らかな異変に私は思わず言葉を失った。
軈て、どんな仕組みなのか目の前にステータスウィンドウが表示される。
ライフゲージと、スキルの詳細が頭上に表示されて突然の事に頭がついて行かない。
此れが、日本や世界を震撼させる話題になろうとは知る良しも無い。
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