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緑色の暖かな光、あの最初の時のよう私はその中に包まれていた。
視ると、ユメが毒を消している。魔法が本当に存在している事に、不思議と恐怖は感じない。
イヴは顔をしかめ、明らかに嫌悪そうな表情を浮かべる。軈て少女の方に向き直り、何かを口ずさむ。
「幻想、汝の元に姿を現せ。キマイラ!」
彼女は、空を見上げ強く叫ぶ。軈て辺りが揺らぎ、上空から何かが降り立つ。
二本の牙に、大きな翼。そして尾は蛇、顔は百獣の王。様々な動物を掛け合わせ出来た、奇妙な集合体。
しかし、現実に居る筈は無い。あれは想像の生き物だから、だが目の前は確かにキマイラが居る。
狼狽える矢先、イヴが高笑いしながら少女の周りを飛び交う。
するとユメが呟く、彼女は幻想生物を召喚するスキルだと。
だとすれば、先程の蛇は女王エキドナ。更に少女の後ろには不死鳥フェニックス、明らかに不利な状況だ。
「私が使えるスキルは、元素の絆。これどうやるの?」
「適当に、呪文でも唱えるの。そうしてその技をイメージして!」
想像、そんな突拍子に言われても急に何て出来ない。しかしただ見ていて殺られるのは嫌だ、私は意を決して強く少女に睨みをきかせた。
先ずは、エキドナから狙う。蛇の弱点は炎、だとすれば答えは。
「ヒート、ボルケーノ!」
ゴオッ
周囲が揺らぐ、軈て地面からマグマが吹き出し。其れは蛇の女王目掛け、直撃した。
目の前に黒煙が上がる、軈てそれが晴れると同時焼け焦げた蛇が地面に倒れている姿が映る。
「あ、有り得ない。毒のエキスパート女王が殺られる何て、許さな…い…フェニックスやれ!」
ギュイイイイッ
咆哮を上げ、上空から巨大な両翼を広げる不死鳥。軈て怒りを露に、自身に纏う炎を蒼く発光させる。
殺意、しか感じさせない。何かが目前に迫ると同時、私はユメと自分を水の膜で包む。
バシャッ
水滴が跳ね、不死鳥は苦し気に地面をのたうち回る。少しすると、フェニックスは動かなくなった。
残るは、キマイラのみだ。しかし属性が解らない、そうこうしている間に少女は。
「闇より蘇りし、アンデット。その騎士としての誇りを力として主を守れ!」
ガシャンッ、ガシャンッ
嫌な金属音が、静寂だった夜道に大きく響く。
全身が黒の鎧に兜、そしてスピアを構えて馬に跨がるデュラハン。
否、馬の半身をしていたようだ。鎧が近付いて来た、私は思わず眼を見開く。
これではきりが無い。![image=492531863.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/492531863.jpg?width=800&format=jpg)
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