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「コーヒー」
「はい?」
「俺の部屋まで持って来い」
「あ、えと、どこ、でしょう?」
「……チッ」
「……」
いえ、そう言われましても、あたし、今来たばかりなんだよ?
どこに神サマの部屋があるのか、コーヒーだってどこで入れれば?
何も言えず、何も出来ないあたしを通り越して、神サマは事務所のドアを開けて「おい」とすぐ傍に座ってる彼女に声をかけた。
「こいつにコーヒーの入れ方教えて。後、俺の部屋も」
「あ、はい」
返事をしながら彼女は立ち上がってあたしのほうに歩いて来てくれた。神サマはというとダルそうにどこかに歩いていってあたしは置いてけぼり……。
えっと、ここは自己紹介から、かな?
「あのっ、あたし――」
「結城さんでしょ?」
「へっ?」
「辞令書、出てましたから」
あたしの間抜けな返事に彼女はクスクス笑って、理由を教えてくれた。
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