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言いにくそうに唇を歪める松本さん。
わかります、その先は言わなくても。
「万里君はドリップしたてのしか飲まないから、これ」
だと思いました。
彼女はあたしに電気ポットとコーヒー豆の場所を教えてくれた。
「で、この奥」
「?」
「あそこが万里君のアトリエ」
「……彼だけの?」
「そうだね」
あぁ、どこまで神サマ扱いなんだろう?
「あと」
「はい」
「お昼は各自自分の机か外食。今日はどうしたの?」
「あ、えと、どうしていいか分からないのでとりあえず手ぶらで……」
そう答えると松本さんはにっこり笑う。
「じゃ、一緒に食べに行きましょう。行くとき、声掛けるから」
こんな天使のような言葉にあたしは「はい!」って答えた。
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