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野次馬を押しのけ、桜田は、元町駅の構内へ向かう。
「総合運動公園駅までって、なんぼや」
自動切符売り場で、桜田は上にある看板を目を細めて見ている。
「430円です」と言い、竹山は言葉を続けた。
「桜田さん、事情聴取は」
「うるせえ!! 上司のやる事に、口だすんやねえ!!」
あんたの声の方がと思ったが、口には出さない。
ひと月前から復帰した竹山は、捜査三係に配属された。
つまり、今の直属の上司は、桜田だ。
「すいません」と言い、竹山は言われた通り、二枚切符を買った。
ふたりは改札をくぐり、ベンチで電車を待つ。
桜田が、ふたつ折りの携帯をいじりだす。
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