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十一話【裏切りと別れ】
コンコン、と部屋のドアを叩く音。
声と同時に扉が開く音がし。
「椿ちゃーん、用意できて……って、もう万全だね」
明るい口調でブラウが入ってくる。
用意を済ませている椿を見て少しだけ苦笑をしたが。
「…会議室、行くんでしょ?朝早いかな、と思ったから」
椿は軽く笑った。
「あぁ、うん。じゃあ行こう……?何だ?騒々しいな?」
ブラウは言葉を言いかける。
部屋の外で沢山の人が居る気配と話し声がしたからだ。
「…此処まで来るの?皆が?」
椿はきょとんとして首を傾げた。
「いや、まさか…そんな訳は…」
ブラウは少し慌てた。
次の瞬間――
――バンッ!とドアが開き。
「な…!?」
「河野椿、並びに魔法協会の一員ブラウ=シュターン!禁忌とされるホムンクルス製造の罪により、懲罰房行きの命が下った!」
「禁忌…!?」
魔法協会の人だろうか、武装した人間が何人も居て椿達を取り囲んでいた。
「ちょっと待ってくれ!何かの間違いだ!俺等はクヴェレ上官の指示に従って…!!」
「話は後で聞く。連れて行け!」
ブラウに有無を言わせず魔法協会員はブラウと椿を拘束し、連れていく。
懲罰房へ連れて行かれ。
中へ押し入れられた。
「きゃっ!!」
薄暗い懲罰房の中、椿は転んだのか微かに声を上げた。
「椿ちゃん!大丈夫か!?」
そんな椿にブラウが心配そうに声をかける。
「あー、ブラウ達だー!」
「あ、あの、椿さん…その…こ、転んだみたいですけど…け、怪我は、な、ないですか…?」
間延びしたゲルプの声に、心配そうな桜の声。
椿は顔を上げ辺りを見渡した。
「桜君…?…あ、それに…由佳里さんや海君、波さん…ゲルプさんにロートさんまで…!」
「お前等まで何でこんなトコに?…ん?っていうか、ヴィオレットは?何であいつだけ居ないんだ…?」
ブラウは人数を確認するように指さしをしていく。
その中で、ヴィオレットの姿だけないことに気付いた。
すると。
「俺なら此処だぜ」
懲罰房の柵の隙間からヴィオレットが姿を現し。
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