第1章

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イヤだ。痛いのはイヤだ。 けれど、どうする? あの女のせいで俺の人生はめちゃくちゃだ。あの悪夢だってあの女のせいじゃないのか、あの女がいたせいで、あの女に好意を抱いたせいで俺の人生は間違ったんじゃないのか?  自問自答、自問自答、自問自答、自問自答を繰り返していく。終わらない問答を繰り返していると、携帯電話が床に落ち、左手の小指の切断面がズキズキと痛み始めた。 「な、なだこりゃ!?」 蛇、俺の肌を蛇の入れ墨がぐんぐんと覆うように伸びていた。 「クソッ、なんだってんだよっ!! なんで、俺がこんな目にあわないといけないんだよ!!」 まとわりつく蛇の入れ墨を、爪を立てて擦り落とそうとするが、当然、入れ墨は消えない。肌を裂いて溢れた血が蛇の入れ墨を真っ赤に染める。 「クソッ、クソッ、どいつもこいつも、糞ばっかりだ。なんで、俺ばっかりっ!!」 悪態をついて叫ぶ、もう、これくらいしか俺にはできなかった。 ブブブブッ、携帯電話が揺れる。俺は反射的に携帯電話を睨みつけた。またか、また、あの女がやってきたのか? と思ったがそうじゃない。 メールだ。 恐る恐る、俺は送信されてきたメールを開く、あの女はメールはしてこないから大丈夫という安心があった。 『呪いを解きたくありませんか?』 短い文章だった。もう一度、バイブレーションが鳴り響き、 『貴方は呪われている。このままでは近いうちに死ぬだろう』 『抗う術がほしくないか?』 『平和な日常を取り戻したくないか?』 なんだこりゃと、俺は携帯電話に映る画面を眺める。悪徳メールか、何かか? 迷惑メールかもしれない。 『もしも、お前が本気で呪いを解きたいと願うのなら、この番号に電話しろ』 プツリとそこでメールは途切れ、電話番号が掲示されたメールの画面が残されていた。 迷惑メールか、悪徳商法かもしれないけれど、なんでもよかった。あの女から逃れられるのなら、それでいい。俺は震える手で電話番号を押した。何度も、何度も押し間違え、涙が溢れた。たった数回、通話するだけなのに俺は何を恐れているんだ? わからないけれど、進むしかない。通話のボタンを押し、そして待つ。コールの音がやけにうるさく聞こえた。 早く、早く出てくれ、心臓の音がコールに繋がり、バクバクとうるさい。早く、早く、早く、そしてプツリと通話が切れる。イタズラだったのか?
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