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「断ち切るっ!!」
覚悟を、その刃に纏わせるように少女が叫び、日本刀をふるう、俺の小指の切断面から伸びる、一匹の蛇が見えた。日向の小指に繋がる、一匹の蛇だ。
「邪魔ぁ!!」
長く伸びた蛇達を、大きく展開させ、牙を見せた。蛇は、毒をもつ生物だ。もしも、あれが毒蛇だったら一撃、食らうだけで死んでしまう。
「貴女ほうこそ、邪魔」
その蛇を少女は一太刀で切り裂いた。斬られた蛇達が部屋に飛び散り。切断面から血液が吹き出す。
「ぎっ!! ぎっ!! 貴様っーーーーーーーっっつつつつ!!!!」
「人と人は繋がることができる。繋がって、通じ合ってけれど、そこには越えてはいけない一線がある。他人を思いやり、慈しみ、愛おしむのならそれを尊重すべき」
「わけ、わかんねーこと言ってんじゃねぇーーーー!!」
片手を振り上げて、日向が叫んだ。少女はためらわない、日本刀を振るう。
「やめろっーーーー!!」
俺は思わず叫んでいた。理由はわからない。二人が静寂に包まれる。
「もう。やめてくれ、俺が、俺が我慢すりゃいいんだろ。俺だったら我慢できる。だから」
左腕の蛇の入れ墨がグジュグジュと伸びて、日向はニィーーーっと口元を緩めた。
「殺し合いなんてしないでくれ。だから、だから、」
「アハッ、さすが、さすが和雄さん。私が」
「日向、俺はお前が嫌いだ。別れよう」
呪い、繋がり、時間を全て叩き潰す言葉を口にした。今までずっと腹の底に隠していた言葉だ。
「別れよう。日向」
入れ墨が今までにないほど、強く締め向けてくる。
「ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、私と和雄さんが別れるなんてありえない!!」
「ありえないなんて、ありえない。グリード様も言っていた」
なんで、そこで鋼の錬金術だよと、ツッコミを入れてしまいそうになったのは、俺に余裕が生まれた証拠だろう。
「お願いだ。断ち切ってくれ」
俺は左腕を差し出した。
「いいの?」
「構わない。切り落としてくれ」
「了解」
背後に日向が迫っていた。蛇を引き連れ、充血させた瞳を血走らせながら俺達を殺すために、
「─────っ!?」
それよりも早く、少女の日本刀が俺の腕を切り落とした。痛みはなかった、斬られた肩から血が
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