1.騒々しい日々

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「まあ最近の風潮はそんな感じですよね。強者は弱者を守るのが当たり前とか思ってるからそんなことになるんだと思いますよ。俺が思うにやりたいことをやって世間に貢献出来れば、それで良いんじゃないですか?」 「………俺、同世代の子にそんなこと言われたの初めてだよ。婆さまには言われたことあったけど、大半の人は強さを生かして国を守れとか、強いんだから、爺の孫なんだから命を掛けて守るのが当たり前だ。なんて言われてきたから、なんだか自分のやってることが認められてるみたいで嬉しいんだけど。シノンだけじゃなくて俺とも仲良くしてくれるかな。何れは友達になって欲しいけど、会ったばっかりだからそこまでは言わないよ。」 「俺で良ければ、宜しくお願いします。面倒ですけど、そろそろ中に入りましょうか。中でゴリラが吼えてるみたいだからシノン、君は最後に入る方が良い。」 「え?う、うん。分かった、そうするわ。」  先ずはミーシャが訓練室に入って行く。続いてクルト、シノンが入って行く。入った途端、ミーシャ達に向かって何かが高速で飛んでくる。ミーシャが然り気無く二人を庇うように前に一歩出るが、それより速くクルトが前に出て、飛来物を蹴り飛ばす。 「先生、危ないでしょう?もしもシノンやミーシャ君が怪我したらどうするんですか?怪我をさせたなんて聞いたら祖父も祖母も飛んで来ますよ。特にシノンは祖父だけじゃ無くて色々と来ると思いますけど。」 「フンッ!遅刻してきて偉そうにしおって!何様のつもりだ!それにこの程度で怪我をするクズなどこのミュロン総合学園には要らん!」 「はぁ、俺はこの授業は免除になってます。それに塾生以外の学生とは手合わせしないように祖父から言われてます。俺を呼んだと言うことは祖父の許可を取ったんですか?」 「貴様は黙って儂の言うことを聞いていれば良いんだ!口答えするんじゃない!」 「はぁ、分かりました。祖父に確認を取ります。少し待って下さい。」 とクルトが通信術式を立ち上げ、先程の映像を添付して祖父母ともう一通何処かに文章を送る。そのあまりにも速い術式展開に周りがざわつく。ゴリラの攻撃をあっさりと防いで見せただけではなく、術式にも優れてることを見せられて驚いている。
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