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「兄さん、普通の学生は術式の多重起動は出来ないのよ。塾を基準に考えると駄目なんだから。」
などとクルトとシノンが話していると
「ウガァー。イタイ!イタイ!イタイ!コロスコロスコロスコロシテヤル!」
と相手が思わぬ痛みに激昂する。
それを見たミーシャはうんざりした顔になり、再び拳銃を構えて照準を合わせる。先程との違いは銃身の前に4つの術式の魔法円がそれぞれ回転している。
ミーシャは剣を振り回して突撃してくる相手に引き金を引く。拳銃から飛び出した弾丸が魔法円を通過して行く。通過する一瞬にそれぞれの術式が発動して弾丸が有り得ない速度で飛んで行き、相手の装飾剣を根本から折る。
周囲が響めく。SクラスのエリートがDクラスの凡人に圧倒されているのだから当たり前だ。しかし、クルトとシノンは
「へぇ、術式の四重起動とか出来るんだ。術式展開も速いな。はっきり言ってシノンよりも丁寧な術式だな。シノンの術式は雑な分、誰よりも速いけど、ミーシャ君の術式は無駄なく最短で展開、起動出来てるよ。塾生の中でもこれだけの術式を使うとなると一握りしか居ないだろうな。」
「ふーん、兄さんでも凄いと思うんだ。私は多重属性を同時起動させるところが凄いと思うんだけど。」
「さっきも言ったけど術式があれだけ丁寧であれば反発させることなく多重属性の同時起動は可能だよ。シノンがやろうと思ったらもう少し丁寧な術式の組み方しないと暴発するよ。」
「もう!分かったわよ!どうせ私はガサツですよ。私だって結構頑張ってるのよ。速度を落とさずに安定する術式へ組み換えてるんだから!」
「悪かったよ。最近はシノンの術式を見てないから何とも言えないけど、努力していることは良いことだと思うよ。」
「私もミーシャ君に言われて一寸ずつ直していってるの。私も彼みたいな綺麗な術式を使ってみたいなぁとか思っちゃったから。」
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