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ダンッ、ダンッ、ダンッ、ダンッ!と此方に向かって階段を駆け上がって来る音がする。
バンッ!と勢いよく部屋の扉が開け放たれる。
「兄さん!またサボってここで本を読んでたわね!ちゃんと授業に出ないと駄目じゃない。そんなんじゃ留年しちゃうんだから!ねぇ、ちゃんと聞いてるの兄さん!?」
と濡羽色の美しい髪をポニーテールに結い上げた少女が兄に詰問する。
「はぁ、静かにしてくれシノン。見てわからないのか?
俺は本を読んでいるんだ。それにここは書庫なんだから静かにしないと利用者に迷惑が掛かるだろ。それに普段からあんなにドンドンと足音をさせて移動しているのか?
それはどうかと思うぞ。お前も一応は女の子なんだしな。」
「何が言いたいの兄さん?」
と冷たい声で聞くシノンと呼ばれた少女が兄に聞く。
「はぁ、態々言葉を濁してやったのに聞くのかお前は?
良いだろう答えてやろう。シノン、お前最近太っ……ズダンッ!!っと危ないじゃないか!この机は學校の備品だぞ。ナイフなんか突き刺したら駄目だろう?」
「どうして兄さんは少しズレてるのよ?普通は人に向かってナイフを投げたことを怒るでしょ!まあ、兄さんには当たらないと思って投げた私も悪いけど、毎回毎回、模擬戦をサボる兄さんも悪いんだからね。戦闘科のゴールド先生が兄さんのことを呼んでこいって私が行かされたのよ!」
「はぁ。シノン、帰ってゴリラに言ってやれ。俺は模擬戦などの授業を免除されていると分かったらさっさと檻の中に帰って子供にドラミングをして泣かれてろってな。」
「嫌よ!そんなこと言ったら私の目の前で上着を破り捨ててドラミングされるでしょ!私、胸毛ジャングルなんて見たくない!いいから来るの!取り敢えず居ればあのゴリーラも満足するんだから!」
とシノンが本を読んでいるままの兄に引き摺って行く。
「はぁ。シノン?せめて階段くらいは背負ってくれよ。痛いじゃないか。」
「だったら自分で歩いてよね。幾ら魔機のアシストが有るからって私の負担が無いって訳じゃないんだからね。」
「仕方無いな、面倒だが歩くか。シノンは運動不足だからな。」
「魔機のアシストに体力は関係無いじゃない!」
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