殺し屋と山小屋事件

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「一雨降りそうだな。」 仕事で相棒になることになった信夫に言われて私は顔を上げた。 空は暗雲が垂れ込めていて空気に湿気が増し、太陽は完全に落ちている。 木々は闇夜に浮かび上がっていた。 「雨で夜の山道は危険ですね。戻るべきだと思いますよ。」 「おい仁。今さら戻ると言われてもな、ここまで二時間もかかっぞ。帰りも同じくらいかかるなら、前進した方がいいとオレは思うぞ。」 「筋肉ダルマの信夫にそんな考えが出るとは驚きました。」 などと私が毒を吐いた瞬間、私の鼻先に冷たいとものを感じた。 続いて周囲に雨粒が降りそそいだ。 雨は水滴の足跡を見る間に増やしていった。 雨が強くなる前に、早く進みましょう。 山に逃げた標的を呪いつつも、山道を進む。 三方を高い崖に囲まれ、暗闇に林や森がいくつか点在する広めの盆地に出た。 閉塞感を誘う暗鬱な風景です。 ザァ────────────────…… 小雨だった雨足が急速に強まり、山道の地面を一面の泥濘に変えてしまった。 「仁、こっちに来い。雨宿りができそうだぞ。」 雨を受けながらもそのたくましい指で信夫が前方を指し示す。 視界を向けると、雨のカーテンぬ無効に灯る明かりが 見えた。 光源であるログハウスに接近してみる。 ログハウスは木と石でできた頑丈な二階建てだった。 地下室の入口もあり、寂れた山には不似合いな程度には大きかった。 長い間手入れをしていなかったのか、敷地は泥の海となっていた。 森から延びた下生えに浸食され、ログハウスの木材が腐り落ちている箇所もあった。 窓からは目指していた人工の灯りが漏れている。 どうやら先客がいるようです。 私は懸念を感じていました。 違和感にも似た感覚を言葉で 「こういう寂れた家にも雨宿りがぐらいできるだろう。あそこで休もう。」 「・・・・・・・・。」 言葉で言う前に、信夫に遮られました。 信夫は雨を振り払うように、玄関口の石造りの階段を上る。 檜材の扉の前で忍び足で接近。 仕方なく私も追って、腰にある拳銃に手を当てる。 SG552、アサルトライフルを構えた信夫が手信号で、扉を蹴り破る彼の背中に続いて、室内へと突入する。 暖炉の柔らかな明かりが広がる室内には、驚いて目がまん丸になった人間達がいた。
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