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「場所わかったから、そこいてて下さい」
そう告げて電話を切った。とにかく『ぼてぢゅう』に向かう。歩きながら、差し出されたティッシュを受け取って、鞄にいれた。
新歌舞伎座の向かい側に地下鉄の出入り口があり、そこから商店街に入ると、お好み焼きや『ぼてぢゅう』がある。店の前にはまばらに人がいた。金髪頭お水系のおねえちゃんと、その連れの中年をはぶくと、残りは3人。いずれも若い男だ。中で一番田舎っぽいのに目星をつけて近づいていく。
突然、後ろから肩をたたかれ「今井さん」と声をかけられた。
――私は今井やない、ああ、今は今井やった。
少し混乱しながら振り向いて、目を見開いた。
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