第1章

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 背が高かった。眉は濃く目は二重で大きくてたれていた。髪は短くて、たわしみたいに立って、髪も瞳も色素が薄い。紺の長袖Tシャツを着て、ジーンズを穿いているだけなのに、着こなしている感じがした。黒く光るスポーツバックを肩にかけていた。 「一応、初めましてなので、コクラです。よろしく」 「コクラ? オグラや思てました」 「え、そうなと? 福岡にコクラってあるでしょ。あれと同じたい」  しゃべると、印象が変わった。おもしろすぎて、思わず笑ってしまった。 「そんな詳しくないんやけど、大阪を案内します」 「お願いします。でもまずは、『ぼてぢゅう総本家』ば行きましょう」 『ぼてぢゅう総本家』に入るのは初めてだった。
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