第1章

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 コクラの向こうの席から湯気が上がって、天井の換気扇に吸い込まれていた。換気扇から角張った銀色のダクトがのび、壁に沿ったダクトに合流していた。私の上でも換気扇が回っている。テーブルもいすも木製なのに、壁を見ると金属製の波板だった。ぼてっと返して、ぢゅうと、おいしそうな音がするから「ぼてぢゅう」で、「ぼてぢゅう」「ぼてぢゅう総本家」「大阪ぼてぢゅう」の三社にわかれているとコクラが言った。  今まで「ぼてぢゅう」はどれも「ぼてぢゅう」だと思っていた。  焼き上がったお好み焼きが鉄板にのせられた。ソースをたっぷり塗ると、たれて、鉄板の上で一気に沸騰した。はじける音と、香ばしい香りが立ち上った。
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