第1章

16/38
前へ
/38ページ
次へ
 頷いたものの、よく見ると、コクラの顔が赤くなっていた。 私まで変に意識し始めて、何の会話もなく、黙々と、なんばグランド花月にむかった。 コクラは少しだけ後ろをついてきた。花月の前には吉本新喜劇を見ようと詰めかけた行列があった。 表に、テレビでよく見かける芸人さんの顔が張り出されていた。 待ち時間でおしゃべりする団体の声に、圧倒される。 「あ、陣内の写真。今この中におるとな?」  きかれて、首をかしげた。 「やっぱ、大阪はすごかね」  あまりに喜んでいるので、戸惑ったが、笑顔でこたえた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

251人が本棚に入れています
本棚に追加