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花月をなんとか通り越し角を曲がると、ビジネスホテルが見えた。
コクラはフロントで受付をすますと、「ここで待っとって」と言い残し、エレベーターに消えた。 旧式らしく音が大きかった。
薄暗いロビーで黒い革張りのへたったソファに腰掛けた。さっきはどうして赤くなったんだろう。意識しすぎていた自分が、恥ずかしくなった。
コクラはすぐに戻ってきた。
「次は『大阪で一番おいしいたこやきくん』ば、行こう」
そこは花月の裏にあるたこ焼き屋だった。 小さな店の前にはいつも行列がある。
「天かすを、うんとこ入れるけん、外はかりっと、中はトロっとなっとげな」
並んでいる間、コクラはその店のたこ焼きの特徴を話してくれた。
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